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濱田 貞夫総料理長に聞きました!婚礼料理10の質問vol.03

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ウエディングのおもてなしの主役はやっぱり"料理"。最近では、「出身地の食材を使いたい」「とにかく美味しい料理をふるまいたい」などメニューにこだわるカップルも急増しています。けれども、実際のところどう選んでいいのかわからない人も多いのでは?

そこで、婚礼料理でも人気の一流シェフに質問をぶつけてみました!
今月は、ホテル東京 総料理長 濱田さんがゲストへの最高のおもてなしを伝授してくれます。

濱田 貞夫(はまだ さだお)さん

濱田 貞夫総料理長1935年富山県宇奈月温泉に生まれ、1953年上京。北大路魯山人ゆかりの銀座「中嶋」、「新三浦」、神田「大市」などを経て、1964年、芝浦「おもたか」にて調理長となる。のち、六本木ロアビル内「きときと亭」、熱海ニューフジヤホテル等を経て、現高輪ホテル東京総料理長。1996、98年には、和の鉄人道場六三郎氏と共に厚生大臣賞や江戸の名工~卓越技能賞を受ける。

(社)日本料理研究会理事・師範、(社)日本全国技能士全日本料理技能士会理事・名匠、関西調理師大京会会長等の役職を歴任。

Q1:ゲストもふたりも満足するメニューを叶えるため、試食の際にはどこに注意すればいい?

料理1A: 当ホテルの試食会では、披露宴当日のコース料理の中のメインになる料理を3~4品召し上がっていただきます。
和食ですと、四季の季節感を大切に食材を選び、献立を構成し、あくまで「饗応」「もてなしの心」にこだわりをもって調製していますので、試食会ではカウンセラーと共に、調理長に相談できる機会をつくれればなおよいと思います。

Q2:今までにどんなこだわりorワガママを叶えたことがありますか?

A: 披露宴進行上の演出もさることながら、料理については、新郎新婦、ゲストの方々の食材アレルギー、好き嫌いを事前に把握し、それぞれに対応した特別料理をお出しするよう心がけております。

Q3:せっかくのウエディングパーティですから、ゲストの心に残るようなふたりらしいオリジナル料理でおもてなししたいと思います。料理長ならどのような提案をしてくれますか?

料理2A: 披露宴では、ゲストの心に残るおもてなしをするのがいちばん。新郎新婦、または双方の両親の田舎にゆかりのある食材を献立に組み入れ、プログラムの途中に、和・洋の調理長がお料理の説明にもおうかがいするのがいいでしょう。

豊臣秀吉が京都、醍醐寺で諸国の大名を集めて大茶会を催したときに、仙台の伊達政宗に言った有名な言葉があります。
「仮初めにも、人を招いて持て成そうと思うならば料理が第一じゃぞと思え」
私はこの言葉のように、どんな美辞麗句の挨拶よりも、当日心のこもった料理でおもてなしすることが、いちばん心に残ると思っています。作り手として、おふたりとご両家に代わってお招きしたゲストの方々をおもてなしする料理を心を込めてお作りいたします。

Q4:メイン料理はゲストがアッと驚くようなものにしたい! 料理長ならどんなスペシャル食材を使ったり、演出を組み合わせたりしますか?

A: やはり、新郎新婦やご両親の出身地の産地食材を使用した料理をサプライズ演出で提供したいと思います。
ほかにも、当ホテルオリジナル、和の"鯛の浜焼きを主とした、海、山、里の食材を盛り込んだ朱の大杯盛り"、洋ではベイクドアラスカ(アイスクリームをメレンゲですっぽり包み、ブランデーでフランベして提供するデザート)の演出も印象的ですよ。

Q5:料理長ならではの年配のゲストにも優しい婚礼メニューを提案してください。

料理3A: ゲスト一人ひとりの年代に合った、しかも好みのリクエストにも応えるヘルシーな献立を作成します。
特に要望があれば、ベジタリアン向けの献立もご用意します。
例えば、春なら山菜に豆腐やこんにゃく、豆などを使ったメニューを、また秋なら、茸や秋野菜をふんだんに盛り込んだメニューをお作りします。

<一例>

ベジタリアン向け 春の献

立先付け......糸寒天、莫大開、ゆり根白玉、枝豆、梅吸酢
小鉢......湯波豆腐、黒豆、タピオカ、わさび割出汁
お吸物......豌豆葛よせ、茸、かえで麩、竹紙昆布、花柚子
向附......広島こんにゃく、薄作り、とさか海苔、よりうど、辛子酢味噌
蒸し物......豆乳むし、焼きしめゆば、ぎんなん、べっ甲あん
口代り......オランダ粟麩照焼き、凝性豆腐、くず打ち揚げ、こんにゃく有馬煮、夏やさい胡麻和え、酢どり生姜
煮物......うずら豆入り、南瓜万じゅう、大徳寺麩、きぬさや、木の芽
油物......白ずいき、白せん揚げ、万願寺ししとう、ベビーコーン、紫蘇おろし、旨つゆ
習椀......合わせ味そ仕立て、なめこ、庄内麩
食事......御赤飯、香のもの
水菓子......季の実

ベジタリアン向け 秋の献立

先附......とんぶり入り胡麻豆腐、ちらし、紅葉いちょう麩、山葵、旨出汁
前菜......吹きよせ盛り、銀杏、くわい煎餅、のし梅、みたらし串、天上昆布、むかご、松葉そば
お吸物......畔豆くずよせ、松茸、糸寒天、結びはす芋、大納言、柚子
向附......しみ豆腐、昆布じめ、くじら羹、丘ひじき、赤かぶ、からし正油
蒸し物......焼き豆腐、椎茸、糸巻き蒸し、生姜おろし、そばつゆ
口代り......揚げ粟麩てり焼き、柿・大徳寺麩・博多押白酢かけ、黒豆、鹿の子こんにゃく、秋やさい(しめじ茸、栗、他くるみ和え、くこの実)花無果、風呂吹き、揚げ胡桃、胡麻みそ
煮物......小丸ひろうず、小かぶ、人参、つる菜、葉山椒
揚物......松茸、おろしくわい挟み揚げ ゆば巻き、木の葉南瓜、稲穂、柚子おろし旨つゆ
留椀......赤出汁仕立て名残り茄子、なめこ、粉山椒
お食事、香の物
水菓子......季の実

Q6:料理長ならではの年配のゲストにも優しい婚礼メニューを提案してください。

A: 2~3時間の披露宴では、お子さまは途中で飽きてしまいます。ですから、親御さんと一緒に時間をかけて召し上がれるようなミニ懐石風お料理をご用意します。
お子さまの年齢によっても変わりますが、ご要望に応えられるよう心がけています。

Q7:(唐突ですが)料理人になったきっかけは何ですか?

料理4A: 富山県黒部峡宇奈月温泉にて叔父が旅館を経営しており、毎日風呂の行き帰りに調理場を通りながら料理作りを見聞きしており、門前の小僧で自然の成り行きでした。しかも食べることが好きだったこともありますね。

Q8:料理長が得意とするメニューは何ですか?

A: 原則としてオールラウンドですが、お椀、煮物等の味付けが得意です。

Q9:料理長の食に対するこだわりは何ですか?

A: 舌の感覚は誰にも負けません。また、感覚が衰えないよう普段から不味い食べ物は口にしません。
料理は、味は勿論、見た目も美味しくなくてはいけない、と思っており、それをいちばん心がけております。

Q10:ズバリ、料理長にとっての婚礼料理とは?

A: 結婚式を行う、ということは、心に残る料理と共におふたりの人生のスタートもこのホテルから始まるといえますね。
人生一度の結婚披露宴をよい思い出にするには、おふたりが共に考えた演出に、料理の作り手、それをサービスする人たちと一体になったおもてなし"ホスピタリーマインド"が大切だと考えております。

※料理の写真はすべてイメージです。

▼婚礼料理10の質問バックナンバー

Vol.01:クイーンアリス 石鍋 裕シェフ
Vol.02:プティポワン 北岡 尚信シェフ
Vol.03:ホテル東京 総料理長 濱田 貞夫さん
Vol.04:Le BENKEI 尾川 欣司シェフ
Vol.05:ラ・レゼルヴ 池田 正信シェフ
Vol.06:天王寺都ホテル 加藤 宗之シェフ
Vol.07:リストランテ エノテカ リヴァ デリ エトゥルスキ ヴィットリオ・コッキシェフ、ピエトロ・アンドロゾーニシェフ

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