結納

詳しく知りたい!地域別に見る結納品の揃え方

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地域別の結納品

結婚が決まったら、その約束を正式な形で取り交わすのが結納です。最近では、本格的な結納を行うカップルも減りつつありますが、地域の風習や家のしきたり、両親の意向などで結納を行うカップルはゼロではありません。でも、いざ結納を行うとなっても、周りに結納経験者が少なくなっている昨今、どれが正しい準備なのかがわかりにくくなってしまいました。そこで、今回は結納準備のために知っておきたい基礎知識を紹介します。

地域別で異なる結納品

結納に大きく関わるのが地域差。略式結納が主流となっているものの、地域のしきたりを知っていないと先に進みません。地域には、大きく分けて「東日本」「西日本」「九州」の3つがあり、それぞれで揃える結納品が異なります。

東日本で一般的な"関東式"の結納品について

関東式の結納品

関東地方、東北地方、北海道、新潟、静岡、長野、沖縄に見られるのが関東式の結納。その特徴は、両家の格が同格とされている点。武家由来とされていて、新郎側と新婦側が同格同品目の結納品を用意し、お互いに結納を取り交わします。結納金については、新婦側が新郎側から贈られた半分の額に当たる物品を返す"半返し"の習慣があります。

品数は9品目が正式ですが、簡素化した7品目、5品目でも問題ありません。最近ではさらに簡略化した3品目もあります。結納品の飾り付けはシンプルで、ひとつの白木台にまとめて飾ります。また、結納飾りとは別に、「御帯料(御帯料)」という名目で結納金を包み、それとは別に「家内喜多留(やなぎだる)」という名目で酒肴料を包みます。これは結納金の1割くらいが目安とされています。

<9品目>
・目録......結納品の内容明細を書いたもの
・熨斗(のし)......「のしあわび」とも言い、本来はあわびを薄く伸ばしたもの。不老長寿、延命長寿の意味
・御帯料(おんおびりょう)......結納金のこと。昔は帯を贈っていたことからこの名に。結納返しに包むお金のことは御袴料という(昔は袴を贈っていたことから)
・勝男武士(かつおぶし)......鰹節のこと。武家の保存食として常備され、武運長久の縁起物とされていた
・寿留女(するめ)......スルメイカの干物。日保ちがすることから夫婦の幾久しいしあわせを願って、さらには、噛めば噛むほど味がでることから、味のある仲のいい夫婦になってほしいという願いが込められている
・子生婦(こんぶ)......昆布のこと。強い生命力と繁殖力があることから、子孫繁栄の願いが込められている。「よろこぶ」に通じる縁起物としても
・友白髪(ともしらが)......白い麻糸の束。夫婦ともに白髪になるまで強い絆で結ばれるように、との願いが込められている
・末廣(すえひろ)......一対の白扇。扇を広げた姿が末広がりなので、一家が末永く繁栄するように、との願いが込められている。白は、純潔・潔白・純真無垢の意
・家内喜多留(やなぎだる)......酒肴料のこと。昔は実際に樽酒を贈っていたことからこの名に
※目録に書いてある順番に左から飾りつけます。

<7品目>
7品目にする場合は、9品目のなかから「勝男武士」「家内喜多留」を省きます。

<5品目>
5品目の場合は「勝男武士」「家内喜多留」「寿留女」「子生婦」を省きます。

<3品目>
「熨斗」「末広」「御帯料」のみを用意します。

西日本で一般的な"関西式"の結納品について

関西式の結納品

京都や大阪など関西地方を中心に、東海地方の一部と、富山・石川・福井県などの北陸、そして中国四国地方までの各エリアに共通するのが関西式の結納。その特徴は、新郎から新婦へ納める、という考え方。公家発祥と言われ、新郎側だけが新婦側に結納品を贈ります。女性側はその場で「受書(うけしょ)」を渡し、結納品は贈りません。日を改めて、もらった金額の1割程度の金額を返礼として持参する習慣があります。

品数は9品目が正式ですが、厳格には決まっておらず、簡素化した7品目、5品目でも問題ありません。多い場合には21品目以上を揃えることも。結納品は、それぞれ松竹梅や鶴亀など縁起を担いだ飾り付けがなされ、ひとつひとつ独立した台に載せて並べられます。立体的で華々しくみえるのがよしとされています。また、結納飾りとは別に、「小袖料」という名目で結納金を、「柳樽料」という名目で酒料を、「松魚料(しょうぎょりょう)」という名目で肴料を、と3つに分けてお金を包みます。そのほか、婚約指輪や高砂人形などがプラスされることも。

<9品目>
・小袖料(こそでりょう)......結納金のこと。昔は小袖を贈っていたことからこの名に。京都では「帯地料(おびじりょう)」、神戸では「宝金(ほうきん)とも。松の飾りがなされることが多い
・家内喜多留(やなぎだる)......酒料のこと。昔は実際に樽酒を贈っていたことからこの名に。竹の飾りがなされることが多い
・松魚料(しょうぎょりょう)......肴料のこと。松魚とはカツオの別名で、もともとは鰹や鯛など酒の肴となる魚を贈っていたことから。梅の飾りがなされることが多い
・熨斗(のし)......「のしあわび」とも言い、本来はあわびを薄く伸ばしたもの。不老長寿、延命長寿の意味。鶴の飾りがなされることが多い
・末廣(すえひろ)......一対の白扇。扇を広げた姿が末広がりなので、一家が末永く繁栄するように、との願いが込められている。白は、純潔・潔白・純真無垢の意。亀の飾りがなされることが多い
・高砂(たかさご)......おじいさんである尉(じょう)と、おばあさんである姥(うば)からなる二体一対の人形。老年になっても夫婦仲むつまじくいられるように、との願いが込められている
・結美和(ゆびわ)......婚約記念品のこと。指輪以外でもかまいません
・寿留女(するめ)......スルメイカの干物。日保ちがすることから夫婦の幾久しいしあわせを願って、さらには、噛めば噛むほど味がでることから、味のある仲のいい夫婦になってほしいという願いが込められている
・子生婦(こんぶ)......昆布のこと。強い生命力と繁殖力があることから、子孫繁栄の願いが込められている。「よろこぶ」に通じる縁起物としても

※目録に書いてある順番に左から飾りつけます。関西式では目録は品数に入れません。

<7品目>
7品目にする場合は、9品目のなかから「寿留女」「子生婦」を省きます。

<5品目>
5品目の場合は「高砂」「結美和」「寿留女」「子生婦」を省きます。

九州で一般的な"九州式"の結納品について

九州式の結納品

九州地方は、結納を重要な儀式として重んじる地域。基本的には関西式に準じますが、結納飾りも派手なものが多く、他のエリアにはない風習もたくさんあります。例えば、新郎側が新婦宅に清酒一升と真鯛二尾一対を現物持参する風習は全域にみられます。特産品であるお茶も、重要な結納品とされています。

また、新婦側が新郎側に「結納引出物」を用意する風習も。引き出物は「主の物」と「添え物」という2つからなっていて、主の物には、漆器類などの丸く割れないものが選ばれ、添え物は縁起を担いだ食べものが選ばれます。例えば紅白まんじゅうや紅白かまぼこ、鰹節などが選ばれています。

結納が終わった後、ご近所や親戚に結納品をお披露目する「お茶開き」という風習がある地域も。

<9品目>
・小袖料(こそでりょう)......結納金のこと。昔は小袖を贈っていたことからこの名に。京都では「帯地料(おびじりょう)」、神戸では「宝金(ほうきん)とも。松の飾りがなされることが多い
・子生婦(こんぶ)......昆布のこと。強い生命力と繁殖力があることから、子孫繁栄の願いが込められている。「よろこぶ」に通じる縁起物としても。竹の飾りがなされることが多い
・寿留女(するめ)......スルメイカの干物。日保ちがすることから夫婦の幾久しいしあわせを願って、さらには、噛めば噛むほど味がでることから、味のある仲のいい夫婦になってほしいという願いが込められている。梅の飾りがなされることが多い
・角樽(つのだる)......酒を入れた樽のこと。一生仲むつまじく、との願いを込めて一升分用意
・熨斗(のし)......「のしあわび」とも言い、本来はあわびを薄く伸ばしたもの。不老長寿、延命長寿の意味。鶴の飾りがなされることが多い
・寿恵広(すえひろ)......一対の白扇。扇を広げた姿が末広がりなので、一家が末永く繁栄するように、との願いが込められている。白は、純潔・潔白・純真無垢の意。亀の飾りがなされることが多い
・指輪台......婚約指輪のこと
・高砂(たかさご)......おじいさんである尉(じょう)と、おばあさんである姥(うば)からなる二体一対の人形。老年になっても夫婦仲むつまじくいられるように、との願いが込められている
・御知家(おちゃ)......番茶のこと。日本茶は「何度も出ない」ことから「こうした儀式が二度とないように」という意味がある。2本一対で納められ、新婦側から新郎側へ1本お返しする

※目録に書いてある順番に左から飾りつけます。

目録とは

目録

目録は、結納品の内容がどんなものかを書いたもので、わかりやすくいうと、納品書のようなもの。地域によって品数に加えるところと加えないところがあります。通常、結納品パックなどを購入宇する場合には含まれていますが、品数が少ない場合、含まれないこともあるので購入時には必ず確認を。また、結納品とは別に指輪や婚約記念品を贈る場合も、目録への記載が必要なので忘れずに。その際、結納品の点数は割り切れないよう奇数に整えなくてはならないので、酒料(家内喜多留)と肴料(松魚料)を別々にするなどして調整しましょう。

他にも、用紙のたたみ方、包み方が異なる場合もあるので、不安な場合は両親や地域の結納品を取り扱う百貨店などに相談してみましょう。

また、目録には宛名があり、「○○から□□へ」と記載しなくてはなりません。宛名を誰にするのかも地域によって異なり、
・関東圏中心の場合→本人同士
・北関東、東北、北海道、沖縄→父親同士
・関西、九州→「家」同士
というのが一般的です。これも両家で相談して決めるといいでしょう。

受書とは

受書とは、婚約の印として受け取った結納品の品目を「受け取りました」と書いたもので、わかりやすくいうと、受領書のようなもの。本来は、結納をいただく側がその場で筆書きし、先方にお渡しするものでしたが、最近では当日書くことは稀で、事前に結納品の内容を把握している新郎側が結納品と一緒に用意するのが一般的。その場合は、新婦側が当日内容を確認し、新郎側にお返しする流れになります。また、新婦側が用意する場合は、目録の内容がわからなくても問題のない文章で作ることも可能です。これも両家で相談し、筆耕をお願いするといいでしょう。
受書にも宛名があるので、目録と合わせましょう。

出身地が違う場合の結納の進め方

両家が同じ出身地でない場合、しばしば起こるのが、両家の結納に対する認識の違い。前述のように、関西では「結納は男性が女性に納めるもの」という考え方が一般的ですが、関東では同格。そもそもの認識が違うと、結納のスタイルにしても、結納品にしても異なってしまうので、結納を行うと決めたらまず第一に、両家が結納についてどんな認識をもっているのかをすり合わせて、それを踏まえてふたりはどんなスタイルで行いたいのかを決めるといいでしょう。以下のことを確認し合っておくと安心です。

・結納を行う日時、場所(六輝を気にするかしないか)
・スタイル(正式・略式・記念品のみ、媒酌をどうするかなど)
・結納品を同時交換の場合、品数
・結納金を同時交換の場合、金額
・当日の服装(和装・洋装)
・その他、費用分担

これまでは、両家の認識が異なる場合、新郎側に合わせることが多かったのですが、最近ではインターネットで結納品を揃えることもできるので、新婦側に合わせることも珍しくありません。結納は、婚約を記念して物品を取り交わす儀式ですから、どんなスタイルをとろうとも、両家が気持ち良く行えるのがいちばん。わからないことがあったら両家で相談するか、結納品を取り扱う専門店、デパートなどで相談するといいでしょう。ふたりと両家が遠方でも、最近では電話やメール、SNSなどでこまめに連絡が可能です。面倒がらずにきめ細かい打ち合わせをすることで、当日の不安もなく過ごせるはずです。

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