出産・育児

「小さく産んで大きく育てる」のがいいって本当?

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2014/05/08 Thu

長田 久夫

新生児

「赤ちゃんは小さい方が産みやすい」、「妊娠中は太ってはいけない」とも耳にしますし、芸能人の方など産後もプロポーションを維持している方をよく見るようになりました。

できればスタイル維持したいのが本音・・・だけど、お腹の中の赤ちゃんの健康のためには「ママの体重」ってどうなるのがいいんでしょう?

今回、専門家である千葉大学医学部附属病院産婦人科診療教授の長田 久夫先生に答えてもらいました。

長田先生

こんにちは。千葉大学病院産婦人科診療教授の長田といいます。
赤ちゃんの出生体重は年々減少傾向にあります。1970年代には男の赤ちゃんが3200グラム、女の赤ちゃんが3100グラムだったのが徐々に減り、2002年には女の赤ちゃんは3000グラムを切っています。出生体重が2500グラム未満の赤ちゃんを「低出生体重児」といいますが、この低出生体重児の割合が、2002年には女の赤ちゃんの約10%を占めています。この割合は世界的に見ても高レベルで、先進国の中では日本が突出しています。経済的に豊かで食糧が豊富なのにも関わらず、やせている女性が増え、同時に赤ちゃんも小さくなっているのです。

赤ちゃんは小さい方が産みやすいって本当?

たしかに、赤ちゃんが小さいとお産は比較的楽です。

戦後、食糧難の時代を経た歴史から、高度経済成長期には「赤ちゃんの分と二人分食べて栄養をつけなさい」と周りが妊婦さんにたくさん食べさせた時代がありました。

しかし、妊婦の肥満は妊娠高血圧症のリスクにつながるため、あまり太るのはよくない、ということで産科医が妊婦さんに「体重を増やさないように」と注意するようになったのです。

その結果、今度は逆に「妊娠中に体重を増やしてはいけない」という認識が広がりました。実際、昔に比べお産にかかる時間は短くなっています。

じゃあやっぱり赤ちゃんは小さいほうがいいの?

必ずしもそうとは限りません。

最近「成人病胎児期発症説」という新しい説が出てきました。胎児期の栄養不足が、成長してから成人病を含むさまざまな疾患を引き起こす原因となっている、という説です。

有名な話では、戦時中、ナチスがオランダを占領した際、 オランダの一部の地域で食糧配給を極端に少なくしたために当時妊娠中だった女性が栄養失調状態になり、そのお母さんたちから生まれた子供たちが成長後、高血圧や糖尿病などさまざまな成人病を多く発症した、「オランダの飢餓の冬」という事件があります。

このような極端な例でなくても、胎児期の栄養はその後の成長に大きな影響を与えると考えられます。

妊娠中でもスタイルを維持したい!

必要な栄養はきちんと摂りましょう。

女性向けのファッション雑誌のモデルさんたちは皆とてもやせていますね。テレビで活躍している芸能人も背が高くやせている人がほとんどです。

また、やせている女性の方が好みだという男性も少なからず存在します。そのような社会の目が若い女性に「太ってはいけない、やせたい」と思わせるのかもしれません。

しかし、妊娠すれば当然、お腹の中の赤ちゃんが育つための栄養が必要になります。

本来は妊娠していない時期と比べてより多くのカロリーが必要なのですが、最近は、妊娠しても妊娠していない時と同じカロリーしか取っていないお母さんが多いというのが現状です。

赤ちゃんの低体重を防ぐにはどうしたらいいの?

健康な食生活を心がけるのが一番です。

朝昼晩の三食、野菜、肉、魚などさまざまな食物をバランスよく規則的に食べるのが理想的です。

お母さんに限らず、最近の女性のカルシウム不足は深刻です。成人女性は一日に600ミリグラムのカルシウムが必要とされていますが、実際には20代で平均440ミリグラム、30 代で464ミリグラムしか摂取していないという調査結果があります。

「いざとなったらサプリメントで補えばいい」と安易に考えないことが大切です。サプリメントはあくまでも補助にしかなりません。正しく栄養をとって、元気な赤ちゃんを産みましょう。

(監修:千葉大学医学部附属病院産婦人科診療教授 長田久夫)

記事内容の実施は、ご自身の責任のもと安全性・有用性を考慮してご利用いただくようお願い致します。